「この病院を選んで本当に良かったのかな……」
「もっと他の病院も見ておけばよかった」
「思っていた研修生活と違った」
初期研修が始まってから、病院選びを後悔する人は少なくありません。
初期研修病院は、医師として最初の2年間を過ごす場所です。
どの病院を選ぶかによって、経験できる症例、指導体制、研修医同士の雰囲気、生活リズムは大きく変わります。
もちろん、入職してみないとわからないこともあります。
しかし、病院選びで後悔する人には、ある程度共通した特徴があります。
この記事では、初期研修病院選びで後悔する人の特徴と、後悔しないために今からできる対策を解説します。
この記事でわかること
- 病院選びで後悔する人の特徴
- 初期研修病院選びでよくある失敗
- 有名病院・症例数だけで選ぶリスク
- 病院見学で確認すべきこと
- 自分に合う病院を選ぶための考え方
- 後悔しないために今からできる対策
結論:病院選びで後悔する人は「自分の軸」がないまま選んでいる
病院選びで後悔する人に多いのは、病院を選んでいるようで、実は自分が何を重視したいのか整理できていないパターンです。
たとえば、
- 有名病院だから選ぶ
- 症例数が多いから選ぶ
- 先輩にすすめられたから選ぶ
- 友達が受けるから選ぶ
- なんとなく雰囲気が良かったから選ぶ
という決め方です。
もちろん、有名病院や症例数、先輩の意見、雰囲気は大切です。
ただし、それだけで選ぶと、入職後に
「自分が求めていた研修とは違った」
「思ったより合わなかった」
「もっと比較しておけばよかった」
と感じる可能性があります。
病院選びで大切なのは、病院の良し悪しだけではなく、自分に合うかどうかです。
病院選び全体の流れを確認したい方は、先に初期研修病院の選び方|後悔しないための5ステップを解説も参考にしてください。
病院選びで後悔する人の特徴5選
ここからは、初期研修病院選びで後悔しやすい人の特徴を5つ紹介します。
自分に当てはまるものがないか確認してみてください。
特徴① 有名病院だから選ぶ
病院選びでよくある失敗が、有名病院だから選ぶことです。
たとえば、
- SNSでよく見る
- 先輩が行っている
- 人気病院として有名
- 偏差値が高そう
- 周囲からすごいと言われそう
という理由で選ぶパターンです。
有名病院を目指すこと自体は悪くありません。
有名病院には、症例数が多い、教育体制が整っている、研修医のレベルが高い、人気があるだけの理由があることも多いです。
しかし、有名病院が必ず自分に合うとは限りません。
有名病院で後悔しやすいパターン
有名病院を選んだあとに後悔する人は、以下のようなギャップを感じることがあります。
- 思ったより忙しすぎた
- 自分には競争的な雰囲気が合わなかった
- 研修医の人数が多く、埋もれてしまった
- もっと丁寧に教えてもらえる環境が良かった
- 症例数は多いが、自分が主体的に関われる場面が少なかった
- 知名度で選んだため、志望理由に一貫性がなかった
大切なのは、有名かどうかではなく、自分がその環境で2年間頑張れるかです。
病院選びで迷っている方は、病院選びで迷ったら|初期研修病院を選ぶ前に考えるべきことで、自分が何を重視したいのか整理しておくと判断しやすくなります。
特徴② 症例数だけで選ぶ
症例数は、初期研修病院を選ぶうえで重要なポイントです。
救急車台数が多い病院、入院患者数が多い病院、手技経験が多い病院は魅力的に見えます。
しかし、症例数だけで選ぶのは危険です。
症例が多いことと、自分が成長できることは必ずしも同じではありません。
症例数だけではわからないこと
症例数が多くても、以下の点は別に確認する必要があります。
- 研修医が実際に初期対応へ関われるか
- 上級医のバックアップがあるか
- フィードバックを受けられるか
- 研修医が放置されないか
- 忙しさが自分に合っているか
- 教育体制が整っているか
- 手技を安全に学べるか
たとえば、救急車台数が多くても、研修医が見学中心であれば、自分が想像していた経験とは違うかもしれません。
逆に、症例数がそこまで多くなくても、指導医が丁寧にフィードバックしてくれる病院の方が、自分に合っている場合もあります。
症例数を見るときのポイント
症例数を見るときは、数だけでなく、以下も確認しましょう。
- 研修医がどの程度主体的に診療できるか
- どの診療科でどんな経験ができるか
- 当直中の役割は何か
- 救急外来での指導体制はどうか
- 手技の機会はどのように割り振られるか
- 経験後に振り返りや指導があるか
病院見学では、症例数だけでなく、実際の研修医の動き方を見ることが大切です。
病院見学で確認すべきポイントは、病院見学で見るべきポイント|医学生が確認すべき10項目と質問リストで詳しく解説しています。
特徴③ 病院見学が少ない
病院見学が少ない人も、病院選びで後悔しやすいです。
特に、1施設しか見学していない場合は注意が必要です。
比較対象がないため、その病院が本当に自分に合っているのか判断しにくくなります。
見学が少ないと起こりやすいこと
病院見学が少ないと、以下のような問題が起こりやすくなります。
- 病院ごとの違いがわからない
- 大学病院と市中病院の違いを実感できない
- 研修医の雰囲気を比較できない
- 救急や当直の違いがわからない
- 志望理由が具体的になりにくい
- 順位登録で迷ったときに判断材料が少ない
病院見学は、病院を知るだけでなく、自分の病院選びの軸を作るためにも重要です。
複数の病院を見ることで、
「自分は救急の強さよりも指導医との距離感を重視したい」
「忙しい病院に惹かれると思っていたけれど、教育体制も大事だと気づいた」
「大学病院より市中病院の雰囲気が合いそう」
といった気づきが出てきます。
何施設くらい見学すべき?
目安としては、最低3施設、できれば5〜10施設程度を見学できると比較しやすいです。
ただし、数だけ増やせばよいわけではありません。
大切なのは、病院ごとの違いを意識して見ることです。
病院見学の時期に迷っている方は、病院見学はいつから始める?医学生の学年別スケジュールを解説も参考にしてください。
また、第一志望候補を何回見学すべきか迷う方は、病院見学は何回行くべき?1回で十分か・複数回見学すべきかを解説も確認しておくとよいです。
特徴④ 周囲の意見だけで決める
先輩、友人、SNSの意見だけで病院を決める人も後悔しやすいです。
もちろん、周囲の意見は参考になります。
実際にその病院で研修している先輩の話は、かなり貴重です。
ただし、他人にとって良い病院が、自分にとって良い病院とは限りません。
周囲の意見だけで決めるリスク
周囲の意見だけで決めると、以下のようなズレが起こることがあります。
- 先輩には合っていたが、自分には合わなかった
- 友達と一緒に受けたが、重視している条件が違った
- SNSで人気だったが、実際の雰囲気は自分に合わなかった
- 「良い病院」という評判だけで、自分の志望理由が弱くなった
- 自分の将来像と病院の特徴がずれていた
病院選びで大切なのは、情報を集めたうえで、最終的に自分で判断することです。
周囲の意見は参考にしつつ、自分が2年間働くイメージを持てるかを考えましょう。
先輩の話を聞くときのコツ
先輩に話を聞くときは、
「この病院は良いですか?」
だけではなく、具体的に聞くのがおすすめです。
たとえば、
- どんな人に向いている病院だと思いますか?
- 逆に、どんな人には合わないと思いますか?
- 入職前とのギャップはありましたか?
- 大変だった場面は何ですか?
- もう一度マッチングを受けるとしても、この病院を選びますか?
のように聞くと、より具体的な判断材料になります。
病院見学で質問する内容に迷う方は、病院見学で聞くべき質問20選|研修医・指導医に聞くべきことを解説も参考にしてください。
特徴⑤ 病院選びの軸がない
病院選びで最も後悔しやすいのは、病院選びの軸がないことです。
病院選びの軸とは、病院を比較するときの判断基準です。
たとえば、
- 救急を重視する
- 手技を重視する
- 教育体制を重視する
- 研修医の雰囲気を重視する
- 志望科との相性を重視する
- QOLや生活面を重視する
- 地元や将来の進路を重視する
といったものです。
この軸がないと、病院見学へ行っても、何を見ればいいのかわかりません。
その結果、
「なんとなく良かった」
「雰囲気が良かった」
「有名だから良さそう」
という印象だけで選びやすくなります。
軸がないと志望理由も弱くなる
病院選びの軸がないと、志望理由も弱くなります。
たとえば、
「救急が強いからです」
「症例数が多いからです」
「研修医の雰囲気が良かったからです」
だけでは、どの病院にも言える内容になりやすいです。
一方で、自分の軸があると、
「私は初期対応力を身につけたいと考えており、病院見学で研修医の先生が救急外来で主体的に初期対応し、その後に指導医の先生からフィードバックを受けている様子が印象的でした」
のように、自分と病院をつなげて話しやすくなります。
志望理由の作り方に不安がある方は、初期研修マッチングの志望理由の書き方|例文と考え方を解説も参考にしてください。
病院選びで後悔しないためにやるべきこと
ここからは、病院選びで後悔しないために、今からできることを解説します。
① 自己分析をする
最初にやるべきことは、病院探しではありません。
まずは自己分析です。
自己分析では、以下を整理しましょう。
- 将来どんな医師になりたいか
- 初期研修で何を身につけたいか
- どんな環境で成長しやすいか
- 苦手な環境はどんな環境か
- 救急・手技・教育・雰囲気・生活面のどれを重視するか
- 志望科が決まっているか
- 研修後の進路をどう考えているか
自己分析というと難しく感じるかもしれません。
しかし、要するに「自分は初期研修で何を大切にしたいのか」を考える作業です。
自己分析のやり方は、医学生の自己分析のやり方|マッチングで使える病院選びの軸を作る方法で詳しく解説しています。
② 病院選びの軸を作る
自己分析ができたら、病院選びの軸を作りましょう。
おすすめは、条件を3つに分けることです。
- 絶対に譲れない条件
- できれば欲しい条件
- 妥協できる条件
たとえば、救急を重視する人なら、
- 絶対に譲れない条件:救急外来で研修医が初期対応に関われる
- できれば欲しい条件:手技もある程度経験できる
- 妥協できる条件:立地や給与は最優先ではない
のように整理できます。
すべてを満たす病院を探すと、なかなか決められません。
自分にとって本当に大切な条件を整理することが大切です。
③ 複数の病院を見学する
病院選びで後悔しないためには、複数の病院を見学しましょう。
1つの病院だけを見ると、その病院が本当に自分に合っているのか判断しにくいです。
大学病院、市中病院、救急が強い病院、教育が手厚い病院など、タイプの違う病院を見ておくと比較しやすくなります。
病院見学を申し込む段階で不安がある方は、病院見学のメールの書き方|医学生向け依頼文・件名・例文を解説を参考にしてください。
④ 見学後に必ずメモを残す
病院見学は、行って終わりではありません。
見学後にメモを残さないと、複数の病院を比較できません。
見学後は、できれば当日中に以下を整理しましょう。
- 良かった点
- 気になった点
- 研修医の雰囲気
- 指導医との距離感
- 救急・手技・当直の特徴
- 志望理由に使えそうなエピソード
- 自分の軸と合っているか
- 2年間働くイメージが持てるか
見学後の比較方法については、病院見学後の比較方法|初期研修病院を選ぶチェックリストで詳しく解説しています。
⑤ 最終的には「自分が本当に行きたい順」で考える
病院選びで迷ったとき、最終的には
もし両方に行けるなら、どちらで2年間研修したいか?
を考えましょう。
この答えが、自分にとって上位に来る病院です。
マッチングの順位登録では、基本的に本当に行きたい順に並べることが大切です。
「受かりそうだから上にする」
「人気病院だから下げる」
「中間公表を見て大きく変える」
といった考え方だけで決めると、後悔する可能性があります。
順位登録の考え方は、マッチング順位登録の考え方|後悔しないための決め方を解説で詳しく解説しています。
大学病院と市中病院で迷った場合
病院選びで多い悩みが、大学病院と市中病院のどちらを選ぶかです。
結論として、どちらが正解というものはありません。
大学病院にも市中病院にも、それぞれ向いている人がいます。
大学病院が向いている人
大学病院は、以下のような人に向いています。
- 専門性の高い診療に興味がある
- 希少疾患を経験したい
- 研究にも興味がある
- 将来的に大学医局を考えている
- 志望科がある程度決まっている
- 大学とのつながりを重視したい
市中病院が向いている人
市中病院は、以下のような人に向いています。
- 救急をしっかり経験したい
- common diseaseを幅広く診たい
- 手技を経験したい
- 初期対応力を身につけたい
- 研修医が主体的に動ける環境がよい
- 実践的な臨床経験を積みたい
大学病院と市中病院の違いを詳しく知りたい方は、大学病院と市中病院どっちがいい?初期研修病院の選び方を解説も参考にしてください。
病院選びで後悔しないためのチェックリスト
最後に、病院選びで後悔しないためのチェックリストを確認しましょう。
- 有名病院という理由だけで選んでいない
- 症例数だけで判断していない
- 複数の病院を見学した
- 大学病院と市中病院の違いを理解した
- 研修医の雰囲気を確認した
- 指導医との距離感を確認した
- 救急・手技・当直の実際を確認した
- 見学後にメモを残した
- 自分の病院選びの軸を整理した
- 志望理由を自分の言葉で説明できる
- 周囲の意見だけで決めていない
- 2年間働くイメージが持てる
- 順位登録で後悔しない順番を考えている
チェックが少ない場合は、まだ病院選びの整理が浅いかもしれません。
焦って決める前に、自分の軸に戻って考えましょう。
まとめ:病院選びで後悔しないためには、自分の軸を持つことが大切
初期研修病院選びで後悔する人には、共通した特徴があります。
- 有名病院だから選ぶ
- 症例数だけで選ぶ
- 病院見学が少ない
- 周囲の意見だけで決める
- 病院選びの軸がない
このような選び方をすると、入職後に
「思っていた研修生活と違った」
「もっと比較しておけばよかった」
「自分には合わなかった」
と感じる可能性があります。
病院選びで大切なのは、有名かどうかではありません。
大切なのは、自分が2年間成長できる環境かどうかです。
そのためには、
- 自己分析をする
- 病院選びの軸を作る
- 複数の病院を見学する
- 見学後に比較する
- 本当に行きたい順で考える
という流れが大切です。
病院選びに迷ったら、まずは自分が初期研修で何を重視したいのかを整理しましょう。
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- 大学病院と市中病院どっちがいい?初期研修病院の選び方を解説
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