
「マッチング対策で自己分析が大事って聞くけど、何を考えればいいかわからない」
そう感じている医学生は多いと思います。
マッチング対策では、病院見学や面接対策に意識が向きがちです。
しかし、実はその前に重要なのが自己分析です。
自己分析ができていないと、
- どの病院を見学すればいいかわからない
- 病院見学で何を見ればいいかわからない
- 志望理由が浅くなる
- 面接で話す内容に一貫性がなくなる
- 順位登録で迷いやすくなる
という状態になりやすいです。
この記事では、医学生向けに、マッチングで使える自己分析のやり方を解説します。
この記事でわかること
- マッチングで自己分析が必要な理由
- 医学生が考えるべき自己分析の項目
- 病院選びの軸の作り方
- 志望理由や面接につなげる方法
- 自己分析でよくある失敗
結論:自己分析は「病院選びの軸」を作るためにやる
マッチングにおける自己分析の目的は、性格診断をすることではありません。
目的は、自分に合う初期研修病院を選ぶための軸を作ることです。
たとえば、同じ「良い病院」でも、人によって合う・合わないがあります。
救急をたくさん経験したい人にとっては、忙しい市中病院が合うかもしれません。
一方で、じっくり勉強しながら研修したい人にとっては、教育体制が整った病院の方が合うかもしれません。
つまり、病院選びでは、
「どの病院が一番良いか」
ではなく、
「自分にとってどの病院が合っているか」
を考える必要があります。
そのために必要なのが自己分析です。
関連記事:医学生のマッチング対策はいつから始めるべき?5年生・6年生別ロードマップ
なぜマッチングで自己分析が重要なのか
自己分析が重要な理由は、マッチング対策のほとんどに関わるからです。
自己分析は、ただ自分の性格を知るための作業ではありません。
以下のように、マッチング全体の土台になります。
| 自己分析が関係する場面 | 役割 |
|---|---|
| 病院探し | 自分に合う病院を探しやすくなる |
| 病院見学 | 見るべきポイントが明確になる |
| 志望理由 | 説得力のある理由を作れる |
| 面接 | 答えに一貫性が出る |
| 順位登録 | 迷ったときの判断基準になる |
自己分析をしないまま病院を探すと、判断基準が曖昧になります。
その結果、
「有名だから」
「先輩が行っているから」
「給料が高いから」
「なんとなく雰囲気が良かったから」
という理由だけで病院を選びがちです。
もちろん、知名度や雰囲気、待遇も大切です。
しかし、それだけで選ぶと、入職後に
「思っていた研修と違った」
「忙しさが合わなかった」
「自分のやりたいこととズレていた」
となることがあります。
自己分析は、こうしたミスマッチを減らすために行います。
医学生が自己分析で考えるべき5つの項目
自己分析といっても、難しく考える必要はありません。
まずは以下の5つを考えれば十分です。
- 将来どんな医師になりたいか
- 初期研修で何を重視したいか
- どんな環境なら頑張れるか
- 逆に避けたい環境は何か
- 自分の強み・弱みは何か
順番に解説します。
① 将来どんな医師になりたいか
まず考えたいのは、将来像です。
現時点で診療科が決まっていなくても大丈夫です。
むしろ、はっきり決まっていない医学生の方が多いと思います。
その場合は、診療科名ではなく、医師像で考えましょう。
たとえば、
- 救急対応に強い医師になりたい
- 幅広く初期対応できる医師になりたい
- 専門性の高い医師になりたい
- 地域医療に関わりたい
- 患者さんと長く関わる医療がしたい
- 手技に強くなりたい
- 研究や教育にも関わりたい
このように、ざっくりした方向性で構いません。
大切なのは、将来像から逆算して、初期研修で何を経験したいかを考えることです。
たとえば、救急に強くなりたいなら、救急外来の経験が多い病院が候補になります。
将来外科系を考えているなら、手技や手術に関われる機会も重要になります。
将来像がまだ曖昧な人は、
「どの診療科に進むか」
よりも、
「初期研修の2年間でどんな力をつけたいか」
を考えると整理しやすいです。
② 初期研修で何を重視したいか
次に、初期研修で重視したいことを考えます。
初期研修病院を選ぶときの軸には、いろいろあります。
たとえば、
- 救急の経験数
- 手技の多さ
- 症例数
- 指導体制
- 研修医の裁量
- 勉強会の充実度
- 当直回数
- 給与
- 立地
- QOL
- 研修医同士の雰囲気
- 将来の診療科との相性
全部を満たす病院はなかなかありません。
だからこそ、優先順位をつける必要があります。
おすすめは、以下の3つに分けることです。
絶対に譲れない条件
これは、自分にとって必須の条件です。
例:
- 救急をしっかり経験したい
- 地元で研修したい
- 志望科の症例が多い病院がいい
- ある程度QOLも確保したい
できれば欲しい条件
必須ではないけれど、あれば嬉しい条件です。
例:
- 給与が高い
- 立地が良い
- 研修医室がきれい
- 勉強会が多い
- 先輩研修医の雰囲気が良い
なくても許容できる条件
そこまで重要ではない条件です。
例:
- 病院の知名度
- 建物のきれいさ
- 完全な土日休み
- 特定の診療科の強さ
このように分けると、病院比較がしやすくなります。
関連記事:病院見学後の比較方法|初期研修病院を選ぶチェックリスト
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③ どんな環境なら頑張れるか
病院選びでは、研修内容だけでなく、環境との相性も大切です。
同じ忙しさでも、人によって感じ方は違います。
忙しい環境で成長できる人もいれば、忙しすぎると余裕がなくなってしまう人もいます。
考えてみましょう。
- 忙しい環境の方が伸びるタイプか
- じっくり教えてもらえる方が合うか
- 自分から動くのが得意か
- ある程度管理される方が安心か
- 競争的な環境が合うか
- 穏やかな雰囲気が合うか
- 当直が多くても大丈夫か
- 生活リズムを重視したいか
初期研修は2年間続きます。
一時的に頑張れるかだけでなく、2年間続けられる環境かも大切です。
特に、病院見学では研修医の表情や雰囲気をよく見ておきましょう。
忙しそうでも楽しそうに働いているのか。
疲れていても納得感を持って働いているのか。
相談しやすい雰囲気があるのか。
こうした部分は、ホームページだけではわかりません。
関連記事:病院見学で見るべきポイント|医学生が確認すべき10項目と質問リスト
④ 逆に避けたい環境は何か
自己分析では、「やりたいこと」だけでなく、避けたいことも考えましょう。
病院選びでは、理想だけを見ていると失敗することがあります。
たとえば、
- 忙しすぎる環境は避けたい
- 放置される環境は避けたい
- 手技が少なすぎる病院は避けたい
- 救急が弱い病院は避けたい
- 研修医同士の関係がギスギスしている病院は避けたい
- 立地が悪すぎる病院は避けたい
- 将来の診療科につながりにくい病院は避けたい
こうした「避けたい条件」は、病院選びの重要な判断材料になります。
特に大事なのは、自分が2年間続けにくい環境を知っておくことです。
どれだけ有名な病院でも、自分に合わない環境だと研修がつらくなります。
病院見学のときは、魅力だけでなく、違和感もメモしておきましょう。
⑤ 自分の強み・弱みを整理する
最後に、自分の強みと弱みを整理します。
これは面接対策にもつながります。
ただし、きれいな自己PRを作る必要はありません。
まずは、自分の経験を振り返るところから始めましょう。
たとえば、
- 部活
- アルバイト
- 研究
- 実習
- 委員会活動
- 受験勉強
- グループ活動
- 趣味
- 人間関係で工夫した経験
などです。
その中で、
- 頑張ったこと
- 続けたこと
- 工夫したこと
- 失敗したこと
- そこから学んだこと
を整理します。
面接では、強みをただ言うだけでは不十分です。
「私の強みは協調性です」
だけでは、少し弱いです。
それよりも、
「どんな経験でその強みが表れたのか」
「その強みを初期研修でどう活かせるのか」
まで話せると説得力が出ます。
関連記事:マッチング面接でよく聞かれる質問と答え方
自己分析から病院選びの軸を作る方法
自己分析をしたら、次は病院選びの軸に変換します。
おすすめは、以下の3つを決めることです。
1. 絶対に譲れない軸
自分にとって最も大事な条件です。
例:
- 救急をしっかり経験できる
- 手技の機会が多い
- 志望科に強い
- 地元で研修できる
- 教育体制が整っている
2. できれば重視したい軸
必須ではないけれど、病院選びでプラスになる条件です。
例:
- 給与が高い
- 立地が良い
- 研修医の雰囲気が良い
- 勉強会が充実している
- 病院がきれい
3. 妥協できる軸
そこまで重視しなくてもいい条件です。
例:
- 全国的な知名度
- 完全な休日数
- 病床数
- 大学病院か市中病院か
この3つを整理すると、病院を比較しやすくなります。
病院見学に行く前に、自分の軸を作っておくと、
「この病院は自分に合っているか」
を判断しやすくなります。
自己分析シートの使い方
自己分析は、頭の中だけで考えるよりも、紙やメモに書き出すのがおすすめです。
以下のように整理してみましょう。
| 質問 | 自分の答え |
|---|---|
| 将来どんな医師になりたいか | 例:救急初期対応に強い医師 |
| 初期研修で重視したいこと | 例:救急、手技、指導体制 |
| 避けたい環境 | 例:放置される環境、極端に忙しすぎる環境 |
| 自分の強み | 例:継続力、周囲を見て動ける |
| 自分の弱み | 例:最初の一歩が遅い |
| 病院選びで譲れない条件 | 例:救急外来をしっかり経験できる |
| 志望理由に使えそうな経験 | 例:実習で救急対応に興味を持った |
最初からきれいに書く必要はありません。
むしろ、最初は雑で大丈夫です。
大切なのは、自分の考えを見える形にすることです。
自己分析でよくある失敗
① きれいな答えを作ろうとする
自己分析でよくある失敗は、最初から面接用のきれいな答えを作ろうとすることです。
たとえば、
「患者さんに寄り添える医師になりたい」
「幅広い疾患に対応できる医師になりたい」
という言葉は悪くありません。
しかし、それだけだと多くの医学生と似た内容になります。
大切なのは、なぜそう思ったのかです。
自分の経験とつながっている言葉にすることで、説得力が出ます。
② 病院の特徴に自分を合わせすぎる
志望病院に合わせて、自分の考えを寄せすぎるのも注意です。
もちろん、志望理由では病院の特徴に触れる必要があります。
しかし、自分の軸がないまま病院に合わせると、面接で深掘りされたときに答えにくくなります。
自己分析では、まず自分の軸を作りましょう。
そのうえで、病院の特徴と自分の軸がどう合っているかを考えるのが自然です。
③ 「なんとなく」で終わらせる
「なんとなく救急が好き」
「なんとなく市中病院がいい」
「なんとなく忙しい方が成長できそう」
この感覚も大切です。
ただし、マッチングではもう一段階深掘りしておきましょう。
なぜ救急に興味があるのか。
なぜ市中病院がいいのか。
なぜ忙しい環境が自分に合うと思うのか。
この「なぜ」を考えることで、志望理由や面接の答えが作りやすくなります。
自己分析はいつやるべき?
自己分析は、5年生後半から始めるのがおすすめです。
病院見学の前に自己分析をしておくと、見学で見るべきポイントが明確になります。
ただし、最初から完璧に決める必要はありません。
自己分析は、一度やって終わりではなく、病院見学をしながら更新していくものです。
見学に行くと、
「思ったより救急が面白そう」
「忙しすぎる環境は自分には合わないかも」
「研修医の雰囲気はかなり大事だと感じた」
など、自分の考えが変わることがあります。
そのたびに、自分の軸を修正していけば大丈夫です。
まとめ:自己分析はマッチング対策の土台

マッチング対策では、病院見学や面接対策が目立ちます。
しかし、その土台になるのは自己分析です。
自己分析をすることで、
- 自分に合う病院を探しやすくなる
- 病院見学で見るべきポイントがわかる
- 志望理由に説得力が出る
- 面接で一貫性のある回答ができる
- 順位登録で迷いにくくなる
というメリットがあります。
自己分析で大切なのは、完璧な答えを作ることではありません。
自分がどんな研修をしたいのか。
どんな環境なら頑張れるのか。
どんな医師になりたいのか。
これを少しずつ言葉にしていくことです。
まずは、自分にとって譲れない条件を3つ書き出してみましょう。
そこから、病院選びの軸が見えてきます。
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